野坂昭如 戦争童話集

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凧になったお母さん
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ストーリー

2003年制作
野坂昭如「戦争童話集」2 「凧になったお母さん」

港湾施設と軍需工場があるため、日々、空襲におびえる神戸の町で、お母さんと暮らすかっちゃん。
お父さんは兵隊になって南方で戦っていた。

聞き分けのいいかっちゃんたが、時折、父親を恋しがってむずかることもある。
そんな姿に、かっちゃんの命だけは何があろうと守り抜こうと決意するお母さん。

足りなくなりがちな配給を補うため、かっちゃんの家でもお母さんが、庭先でナスを育て、食料を増やそうと努力しているが、ナスにはまだ小さい実がついたばかり。
食料が乏しくなり、かっちゃんがひもじさを覗かせるので、おかあさんは、作物を分けてもらいに着物を何枚も持って、福井の農家まで汽車に乗って出掛けて行く。
農家で畑仕事を手伝い、ようやく白米他の作物を貰うお母さんだが、その上空をB29が神戸の方を目指して飛んで行くのに気が付き、大慌てで帰路につく。

お母さんに空襲警報がなったら必ず防空壕に入るように言われたかっちゃんだが、
一郎から借りたマンガを夢中で読みながらの留守番で、空襲警報に気づくのが遅れてしまい、家の押し入れの中に隠れることにする。
大急ぎで帰って来たお母さんは、かっちゃんが防空壕に来なかったと聞き、慌ててかっちゃんを捜し、ようやく押し入れで眠りこんでいるのを見つけて安堵する。
子どもながらに食料を手に入れようと、一郎に誘われて、かっちゃんは河童が住むと言う河童沼に鯉釣りに行く。 背負った妹を降ろし、早速沼に糸を垂らす一郎。一郎が釣りに夢中になっている間に沼から河童が現れ、ここを離れて山奥に新しい棲み家を探しに行くとかっちゃんに言う。

その日、お父さんの戦死公報が届くが、かっちゃんにそれを知られまいと、涙をこらえるお母さん。
庭先のナスが大きくなり、それを一郎の家におすそ分けに行くかっちゃん。その途中で、空襲警報が鳴り響く。慌ててかっちゃんを連れ戻し、防空壕へ向かうお母さんだが、間に合わず、やむなく国民学校の校庭に避難しようとする。
そこへB29は焼夷弾を落とし始めた。燃え上がる家々。その炎に追われて逃げるお母さんとかっちゃんだが、ついに力尽き倒れてしまう。 炎から守ろうと、かっちゃんを体の下に隠すお母さんだったが、炎の勢いの前にはになす術もない。
炎が消えた時、お母さんの体は真っ黒焦げになっていた。
だがその下からはい出すかっちゃんの目には、いつもと変らぬお母さんが肉体を抜け出して天に上って行く姿が見えていた。
「後で迎えに来るから」と言ったお母さんの言葉を信じて、その場にずっと座り込むかっちゃん。

かっちゃんたちを探しに来た一郎が、かっちゃんの姿を見つけた。 だが、かっちゃんのこころここにあらずの様子に心配して、母親を連れて来た一郎は、かっちゃんが肉体から抜け出して、空から迎えに来たお母さんと一緒に、するすると天に昇ってのを見送ることしかできなかった ──。

カッちゃん
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